『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚(まおりゅう)』が追い求める、「キャラクターを通して、幸せを世界中の人へ」とは

2021年10月のリリースから約2年で500万ダウンロードを突破(2023年11月現在)し、今もなおユーザーが増え続ける『転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚(まおりゅう)(配信:株式会社バンダイナムコエンターテインメント)』(以下、『まおりゅう』)。

発行部数が4000万部を突破した原作小説の大人気アニメ『転生したらスライムだった件(転スラ)』のゲーム化ということで、ファンの皆様からの期待に応え、さらにゲーム好きの方からも納得頂ける作り込みを実現しなければいけません。

今回は、『まおりゅう』制作を指揮するディレクターとアシスタントディレクターに、ゲームづくりのこだわりについて聞きました。また、実際にこだわりを実装するイベントプランナー、バトルプランナーそれぞれの業務内容や開発環境についても話してもらいました。

井手 輝
Wright Flyer Studios本部 第1スタジオ部

2018年にグリーへ入社。『ソードアート・オンライン メモリー・デフラグ』のリードプランナーを担当した後、『まおりゅう』のディレクターへ就任。プロジェクトの立ち上げフェーズから制作を指揮する。

宇土沢 要
Wright Flyer Studios本部 第1スタジオ部 Game Design グループ

2020年にグリーへ新卒入社。『ソードアート・オンライン メモリー・デフラグ』のプランナーを担当した後、『まおりゅう』のバトルプランナーへ。現在は、アシスタントディレクターを務める。

「キャラクターを通して、幸せを世界中の人へ」。追求したのは「圧倒的リムル体験」

── まずは『まおりゅう』の開発や運営で大切にしていることを教えてください。

宇土沢まおりゅうを制作している第1スタジオは「キャラクターを通して、幸せを世界中の人へ」という考え方を大切にしています。

とくに『まおりゅう』は『転生したらスライムだった件』、通称『転スラ』という大人気IPをお借りしているゲームです。『転スラ』の世界やキャラクターの魅力をいかに再現するかがとても大事になります。一方で、いかにゲームならではの要素をつくれるかがポイントだと思っています。

── ゲームならでは、ですか。

宇土沢そうです。ゲームが他のあらゆるメディアと違うところは、遊ぶ人が能動的にプレイできる点だと思っています。だから、感情移入がしやすく、没入感も大きい。

『転スラ』は、リムルという非常に頭が切れて強いキャラクターの「圧倒的な主人公感」が魅力の一つです。そんなリムルに自分を投影し「ゲームだったら自分もリムルになれる」と感じてもらえるかは強く意識しています。

井手チームで掲げているコンセプトである「圧倒的リムル体験」という言葉がすべてですが、もう一つ大切にしていることがあるとすれば「誰でも楽しめるように」という点です。

なぜなら、『転スラ』は幅広い年齢層の方に愛されていて、なかにはスマートフォンのゲームを普段やらない方も多く見受けられます。自分の好きな作品のゲームだからちょっとやってみようというスマホゲームに慣れていない方々でも、ゲームを触るだけで簡単に理解ができる操作性を追求しています。

イベント・バトルプランナーの「こだわり」が、遊んでくれる人の体験向上に直結する

── ここからは先ほど聞いたこだわりを実装する、プランナー職の業務内容や役割について聞かせてください。具体的にはどんな業務内容なのでしょうか?

井手各プランナーは、これまで話したような大きい思想から紐解いて、細かいところをつくりあげていきます。しっかり作り込んだ細かい部分にこそ、ゲームで遊んでくれる人たちが惹かれますので、「そこまでこだわりがあるんだ」と思ってもらえるかが大事なポイントです。

各プランナーは衣装一つ、セリフ一つとっても、 ちゃんとそのキャラクターの性格や趣味趣向に合ったものになっているのかを考え抜いています。各キャラクターの『転スラ』における役割までを理解して、徹底的につくりこんでいるのです。

── あの『転スラ』の世界観をいかに伝えるかを意識しているわけですね。

井手そうです。プランナーはそれぞれ自分なりの『転スラ』の魅力、みたいなものを持っています。細かく「このキャラクターはこうなんだ」と理解をしている方が多いです。

宇土沢「このシステムを導入すればゲーム的には面白くなる」と仮に分かっていたとしても「それは本当に『転スラ』の世界で起こりうるのか」という観点から再度検討します。プランナーとは、世界観とゲーム性を両立しているアイデアかどうかについて話し合うことは多いですね。

── プランナーの中でも、とくにイベントプランナー、バトルプランナーの役割について教えてください。

井手イベントプランナーはゲーム内のイベントやキャンペーンを通じて、遊んでくれる人が楽しめる状態をつくり続けるのが大きな役割です。

運用と開発担当にわかれていて、運用は毎月の決まったイベント施策を滞りなく実行するのが主な業務です。イベントごとに表現したいキャラクターの魅力を定め、対象キャラクターが活躍するようにイベントの仕様を設計します。

開発は新イベントコンテンツの実装が主な業務で、新イベントでキャラクターの活躍の幅が増やせるよう、世界観・設定を生かした上で、エンジニアやデザイナーといった各職種と連携して新しいイベントを実装します。

バナーをアートのメンバーに発注する要件一つとっても、キャッチコピーだけ考えて終わりではなく「どんなキャラのどの魅力を訴求するのか」「そのためにどういう情報を載せるのか」と細かい仕様を決め、自分のこだわりを発揮できる仕事です。

宇土沢バトルプランナーは各キャラクターの性能や活躍する場所の設計、育成機能の開発、新スキルの開発などをおこないます。

総じてゲームの「遊び」体験の向上を目指す業務となりますが、とくに意識しているのは、ただキャラクターの再現度やバトルの品質を高めるだけでなく「キャラクターを通して遊んでくれる人がどう幸せになるか」です。
ゲームをプレイしてくれる人が『転スラ』の世界を違和感なく受け入れられるように、バトルにだけフォーカスするのではなくゲーム全体を俯瞰して見て、没入感のあるストーリーづくりを意識しています。

「成長」をテーマに、チャレンジできる環境が整備されている

── 『まおりゅう』制作を手がけるWright Flyer Studios(ライトフライヤースタジオ)本部 第1スタジオ部にはどんな人が多いのでしょうか。

井手ゲーム好きの方が多いのとあわせて、アニメ好きの方も多数在籍しています。また、熱量高く仕事をしている方が多く、みんなで成長しながら前に進もうという雰囲気があります。

宇土沢熱量の高さは私も感じます。第1スタジオ部は「成長」をテーマの一つにしていて、それを実現するためのチャレンジできる環境が整備されています。誰であっても企画の提案ができ、仮に新しいチャレンジがうまくいかなかったとしても、何度でもトライすることが可能です。

── 他に第1スタジオ部の特徴だと感じることはありますか?

宇土沢第1スタジオ部に限らずですが、職種間の連携の強さは日々感じています。

「プランナーが企画を立て、それをエンジニアやデザイナーにパスする」ではなく、エンジニアやデザイナーも主体的に企画に参加し、チーム全員が責任感を持って1つの施策のリリースまで関わり合います。「もっとこうした方が面白くないですか」といった提案が日々あらゆる場所で飛び交っていますね。

井手アイデアを出し合うだけでなく、実際に職種をまたいで助け合う風潮もあると感じます。プランナーが「こういうところでエラーが出て困っている」とチャットに投稿するとエンジニアがすぐチャットで解決策を返してくれる、といったことがよくあるのです。

「がんばっている」「がんばりたい」という想いの人にとっては、気持ちよく働ける環境だと思います。

また、全体的に他社と比べてゲームづくりに集中できる環境があるとも感じています。マネージャーが常にモチベーションを気にしてくれたり、キャリア相談に乗ってくれたりすることもその一つです。気にしてしまう悩みや心配事は、解決に向けて支援してくれますし、答えの出ないモヤモヤも一緒に考えてくれます。おかげで、ますます制作に集中しやすくなっていると思います。

ゲームづくりにもプレイにも、情熱がある人と一緒に働きたい

── 最後に、どんな方と一緒に働きたいか教えてください。

宇土沢やっぱりゲームづくりに熱量がある、これに尽きるかなとは思いますね。その上でこだわりを持っていて、チームに対して主体性を発揮してコミットできる方とはぜひ一緒に働きたいです!

井手同感です。ゲームをつくることへの情熱はもちろん、ゲームをプレイすることに対しても情熱を持っていてほしいなとも思います。両方兼ね備えているとより良いですね。

── 入社後に活躍するのは、どんな能力を持っている人なのでしょうか。

宇土沢スキル面で言うと、他のゲームをプレイしたり勉強したりして、インプットすることはもちろん大切ですが、積極的に提案をするといったアウトプットを同時にできる能力は必要だと思います。

井手情報を理解・整理し、分かりやすく物事を伝えるコミュニケーション能力。そしてユーザーに近しい感性を持ち続け、ユーザー目線で企画・提案ができると活躍できるのではないでしょうか。

宇土沢マインド面では、ゲームそのものや『転スラ』に対する愛やこだわりがあると良いと思います。また、挑戦できる環境があるので、チャレンジ精神旺盛な方もマッチしているのではないでしょうか。

井手そう思います。「良いゲームを作りたい!」と思っていて、同じ志を持っている チームメンバーと一緒に成長がしたいと思える方とは、ぜひ一度お話ができると嬉しいです。

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